島へ着いた翌日から強い風が出て、後三日にわたって吹いて吹き捲(まく)った。雨も時々まじったが、何より風の強さに驚いた。島の人に訊(き)くと、こんな風ならしょっちゅうだと言う。もっとひどいときのはどんなだろうと思った。
僕の着いた日は、海にうねりこそあったが、穏かなうす曇りで、船から望んだときの三宅島はその火山島らしい円錐形(えんすいけい)の半ばの高さから下方は淡緑色に蔽(おお)われて、陸へ上るとすぐ、そこは黒砂のあまり大きくない浜で、そこから三十メートルぐらいの断崖(だんがい)についている急な坂路を上って、ゆるやかな傾斜地を走っているやや広い路に出たとき、あたりの土手にたくさんある灌木(かんぼく)はもう若々しい広い葉っぱを出しているし、路の両わきの木々も、それからところどころの樹の間から眺望(ちょうぼう)されるなだらかな山裾、それはしだいに盛り上って向うに島の中心をなす雄山(おやま)の柔かいふくらみが眼を惹(ひ)きつける、そこら一帯の榛(はん)の木の疎林(そりん)、あたりの畑地にもいっせいに新芽をふきだしているのを見て、僕はいきなり春の真中へとびこんだような気がしたものだ。 #
by i000148
| 2007-03-11 16:56
名水に負けぬ「不老の水」 飯田の「観音霊水」
【長野県】飯田市南信濃にある龍淵寺(りゅうえんじ)のわき水「観音霊水」が、カルシウムやマグネシウムを多く含むミネラルウオーターとして注目されている。 観音霊水の水源は、霊場がある盛平山の山頂付近。南アルプスの池口岳の水脈から秩父帯の石灰岩をつたい、何十年もかけて水源地にたどりつくという。戦国時代から江戸時代まで地域を支配した遠山氏の時代から、1度も枯れることなくわき続けているとされる。 地元の陸水に詳しい泰阜南小学校長の浅野清志さん(56)が1996年に成分調査したところ、水は弱アルカリ性のやや硬水と分かった。カルシウムイオン、マグネシウムイオン、炭酸水素イオンの濃度は、環境省選定の名水100選より、2倍以上も高かったという。 地元では、昔から「不老の水」として親しまれ、住民は「歯科医師にかかったことがない」と話す。ミネラルやカルシウム補給、便秘解消やダイエットにも効果的とか。フランス産ミネラルウオーター「Contrex」と成分が似ているともいい、新たな観光資源として期待もされている。 #
by i000148
| 2006-08-11 23:17
「世界最高のウィンガーは誰か?」
そう問われたら、多くの人がオランダ代表の左ウィングを挙げるに違いない。 アルヤン・ロッベン。 才能あるアタッカーを多数抱えるオランダにおいて、不動の存在だという事実を見れば、彼の実力がいかほどか分かるはずだ。 ロッベンの名はオランダでは早くからとどろいていた。フローニンゲン在籍時に16歳の若さでデビューを果たすと、2002年にPSVに移籍。12ゴールを挙げ、国内最優秀若手選手賞を受賞した。PSVで数々の経験を積んだのち、2004年にはチェルシーに加入。16試合で7得点をマークし、リーグ制覇の原動力となった。代表デビューは2003年のポルトガル戦。ポジションを確立したのはEURO(欧州選手権)2004だった。 ロッベンの長所は代表で求められるウィング像にマッチしている。攻撃的な4-3-3システムで求められるのは、何を置いても突破力にほかならない。たとえふたりの敵に囲まれても、ひとりで打開することができなければウィングは務まらないのだ。 彼の最大の特徴は一瞬にして相手の逆をとり、ボールをちょこんと突いてかわすテクニックにある。また、左サイドから中央に切れ込んで、逆サイドにシュートを沈めるテクニックも持っている。対峙(たいじ)する相手にしてみれば、縦を切ればシュートを打たれ、なかをケアすればタッチライン際を独走される。敵に回すと厄介極まりないが、ファン・バステン監督にとってこれほど心強い選手はいない。 22歳とチームのなかでは若手の部類に入るが、精神的な強さも備えている。EURO2004準々決勝のPK戦では、居並ぶベテラン選手を差し置いて、6人目、つまりサドンデス1番手のキッカーを任された。そして、プレッシャーを受けながらも、オランダの準決勝進出を決める一撃を冷静に沈めた。チームは続く準決勝で敗れたが、大会を通じてロッベンここにありを広くアピールした。 満を持して臨むドイツワールドカップではどんなプレーを見せてくれるのか。おそらくそれは、右肩上がりで刻んできたキャリアを象徴するハイパフォーマンスになるだろう。 オランイェの背番号11から目を離すことなかれ―――。 #
by i000148
| 2006-05-29 18:16
テンポよくパスを回し、相手を崩していくメキシコ。3大会連続で決勝トーナメントに進出している“北中米の雄”をけん引するのが、“空の支配者”ハレ・ボルヘッティである。
ボルヘッティは183cm、72kgとFWとしては体格に恵まれているわけではないが、空中で彼を封じ込めるのは至難の業だ。その理由は、類いまれな跳躍力と、優れたポジショニングを誇るから。上半身が強く、ヘディングシュートは破壊力があり、コースをねらい分けることもできる。DF、GKにとっては何とも厄介な相手だ。 代表デビューを飾ったのは、1997年2月のエクアドル戦。1998年ワールドカップフランス大会ではメンバーから漏れたが、2002年ワールドカップ日韓大会予選でエースストライカーとしての地位を不動のものにする。そして2005年8月、コスタリカ戦で通算36ゴール目を奪い、メキシコ代表最多得点記録を更新した。 大舞台に強いのも、ボルヘッティの特徴だ。2005年コンフェデレーションズカップでは、4試合で3ゴールをマーク。そのすべてをヘディングで奪い、大会ベストイレブンに選出された。また、2006年ワールドカップドイツ大会予選は14試合に出場し、同地区最多の14得点。予選1戦目から5試合連続ゴールを奪うなど、メキシコに3大会連続13回目の出場権をもたらした。 2005年夏にはボルトンに移籍し、メキシコ人として初のプレミアリーグ参戦を果たす。だが、ペースの早いサッカーになじめず、ベンチスタートが多かった。それだけに、ワールドカップへの意気込みは並々ならぬものがある。 メキシコはショートパスをつなぎつつ、前線に預けてから2列目の飛び出しやサイドへの展開で崩していくスタイル。空中戦とポストプレーを得意とするボルヘッティにとって、最も持ち味を発揮できるチームだ。ボルトンで不遇のシーズンを過ごしたメキシコのエースストライカーは、ドイツの地で“真の姿”を見せてくれるはずだ。 #
by i000148
| 2006-05-29 18:15
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